中国の神様-2

更新日:2022年01月15日
上海最大の禅宗寺院「玉仏寺」と台北最古の「★(舟+孟)★(舟+甲)龍山寺」に祀られる神様は大小合わせて100以上あります。
 ところで、中国、香港、台湾の旅行パンフレットやガイドブックを見ると、必ずお寺や廟などの紹介があり、実際にお参りされた方も多いと思います。実際にお参りするとまず違和感を覚えるのが、大抵、境内正面に大きな香炉と「天王殿」があり、そこには弥勒菩薩、韋駄天尊、そして仏教と寺僧の守護神である四天王が祀られています。弥勒菩薩像といえば、日本では座った状態で方足を組み、片手を頬について、考え込むようなポーズをした「半跏思惟像」として知られています。
 しかし、スフィンクス、モナ・リザと並ぶ「世界三大微笑像」にも数えられる弥勒菩薩が、中国では大きなお腹を抱えて大笑いする布袋和尚だからです。中国では唐代末に実在した大きな布袋を担いだ僧侶の契此(寧波地方出身)が布袋和尚と呼ばれ、その遺言から弥勒菩薩の生まれ変わりということになったようで、幸運・財運・健康運を招く仏様として、多くの中国人親しまれ、信仰されています。
 次に四天王ですが、欲界の六欲天のなかの初天が四天王で、四大王衆天とも呼称し、多聞天は宝塔と三叉の戟、広目天は筆と巻物、戟・槍、持国天は刀・槍・戟、金剛杵、増長天は刀・剣・戟、金剛杵を持っています。しかし中国の四天王ですが、多聞天は傘、広目天は蛇(または龍)、持国天は琵琶、増長天は剣を持っています。
 このように神様でも仏様でも中国と日本では随分、違います。それは同じ名前であっても姿形が違っていると頭に入れておかないと、せっかく旅行先の廟やお寺を参拝しても訳が分からず、ただ観て回っただけで終わるかもしれません。
 元もと中国から伝来した仏教であっても、その後、中国、日本でもそれぞれ独自の発展をしたためで、これに道教や民間信仰など多岐にわたる信仰の関係性などが絡むと、ますます複雑なものとなります。
←前へ 目次 次へ→