そんな蝿を何とかしなければならないのは、レストランや、魚屋、肉屋さんなど飲食関係者で、厨房や商品の近くにはよく「蝿取りリボン」が天井からぶら下がっていました。リボンにはトリモチが付いてて、休憩しにやってきた蝿が粘着質のリボンに止まったら最後、動けなくなるという発明品でした。よくうっかりリボンを頭や顔に引っ付きパニックになった方も多いと思います。日本(田舎を除く)ではほぼ絶滅した蝿、中国ではどうでしょうか?
中国でも蝿被害に対する杞憂は日本と同じようで、以前、蝿取り名人なる人物がテレビで紹介されていました。彼はカンフーの達人で、一度に素手で蝿を最高5匹も捕まえるそうなのですが、そのスピードと正確さにはテレビを観ていて本当にびっくりしました。
その彼が発明したのが蝿取りマシン「最高級蝿殺害機」で、中国で発売したところ瞬く間に品切れ続出。気をよくした彼は増産に次ぐ増産で、ついには年間10万台が製造され、韓国からヨーロッパにまで販売網を広げたそうです。蝿どころか、大金を掴んだというニュースでした。
さて、みなさんは「落筆点蠅」という熟語をご存知でしょうか。過ちをうまく処理して、逆に上手に仕上げることで、出典は『呉志』趙達です。「落筆」は墨を落とすこと。「点」は描く意で、「落筆蠅を点ず」と訓読します。書家や画家の優れた技法を例えています。
中国三国時代、呉の曹不興(生卒年不詳)が孫権[黄龍元年(229月13日〜神鳳元年(252)4月26日]の命で絵を描いていた際に、誤って紙面に墨を落としてしまいましたが、上手く機転を利かせて蠅き換えます。仕上がった屏風を孫権に提出すると、孫権は本物の蠅だと思って手で払おうとしたという故事によります。
みなさんも創作中に墨を落しても動揺せず、逆にそれを生かして秀作に仕上げられますようご祈念申し上げます。