中国伝統民間玩具「風車」-1

更新日:2024年04月01日
大風車、北京廟會賣風車、風車ならぬ虫車
 中国の伝統的な民間玩具に「風車」があります。一般的には紙、竹、高梁(コウリャン)殻などで車輪を作り、風の力を借りて回転させます。簡単に作れてすぐに遊べるので子供たちに大変な人気があり、古くから広く普及しました。
 1930年代の北京では、旧正月(春節)になると、寺廟の祭(廟会)に出る露店や琉璃廠の高級文房具店や骨董品店などで売られていたそうです。風車を買ってもらった子供は走って持って帰り、自宅の門に一日中挿していたそうです。これらの風車は、都市近郊の農民が農閑期を利用して作っていました。高く掲げて走ったり、素早く振ると、一斉にパタパタと賑やかな音を出します。風輪が一個の小さな風車から、50個以上も付いた巨大なものまで、さまざまな種類の風車があります。
 また構造は宋代の絵で見られる風車と基本的に同じで、風車本体の六角形が八角形になり、柄の上に三角形の小旗が取り付けられています。古代のこうした小旗を立てた風車は宋代以降まで特に大きな変化は無く、長い間流行してきました。
 現在、各地で作られている風車はおおよそ3種類に分けられ、「簡易風車」、「多角風車」と「大風車」があります。「簡易風車」は一本の竹か木の横棒の両端に互い違いに二枚の四角の紙を貼るのですが、横棒の中央に軸を柄につなげて、風を受けて回転します。
 「多角風車」は中国で最も代表的な風車で、通常は一枚の正方形の色紙から作られますが、二枚の正方形の色紙を互い違いに折り重ねると八角形の風車に、三枚の色紙だと12角形の風車になります。「大風車」は北京市の太鼓付き風車のことで、前述した北京の春節の間に瑠璃窯前の広い空き地で市が立ったので「廠甸」と呼ばれ、北京の春節の風物詩でした。
 次号では風車の歴史と、わが国にはどのように伝わってきたのか、そして現代版風車のレポートをご紹介します。
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