美人を表わす漢字−2

更新日:2025年06月15日
中国四大美人 左から西施、王昭君、貂蝉、楊貴妃

●中国四大美人 左から西施、王昭君、貂蝉、楊貴妃

B閉月美人 貂蝉
彼女は『三国志演義』に登場する架空の女性で、実在の人物ではありませんが、あまりの美しさに月も雲に隠れたといいます。

C羞花美人 楊玉杯(楊貴妃)
言わずと知れた唐の玄宗皇帝が寵愛しすぎた皇妃、そのため安史の乱を引き起こされたため、傾国の美女と呼ばれています。玄宗皇帝が「蓮の花も人の言葉を理解する花にはその美しさはかなわない」と楊貴妃を指して言ったといいます。彼女の芳醇な香りに花も恥じらい、しぼんでしまったほどです。

 さて、我が国にも美女を表わす言葉に
  ひとたび顧みれば人の足を駐め、
  再び顧みれば人の腰を抜かす
と謳ったのは兵庫県所縁の大田南畝(寛延二〜文政六)です。江戸の谷中の茶屋「鍵屋」の娘・笠森お仙を評したのですが、江戸時代の男は絵を見ただけで心ときめいたんですね。

 北宋・蘇軾の詩『薄命佳人詩』の一節「自レ古佳人多命薄、閉レ門春尽楊花落」〈古(いにしえ)より佳人多くは命、薄く、門を閉ざし春尽きて楊花落つ」が語源です。元々は美人に生まれると数奇な運命に翻弄され、病気や事故など運にも恵まれず、幸せな人生が送れないという意味です。転じて、美人の女性は、短命が多いという意味です。同義語でもある「美人薄命」の美人と佳人の違いですが、かつては単に容姿が優れているだけでなく、内面的にも非の打ちどころのない美人を佳人と呼びました。やはり外観だけでなく、美しい人の要素には内面の美しさが含まれるものなのですね。

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