朱門酒肉臭、路有凍死骨-1
更新日:2021年03月01日
旅行をするときに頭を悩ます一つにお土産があります。買わないという方もいらっしゃいますが、どなたに、どのレベルまで、どれくらいの予算で買うか、買い物リストまで作る人もいるほどです。なかには餞別も渡さないくせに、あれこれ買って来てという非常識な人もいます。このお土産問題についても、日中間で大きな違いがあり、ご紹介したいと思います。
まず日本人はご近所や勤務先などでそんなに親しくない人に渡すお土産として、数百円から千円程度のお土産や、みなさんに分けてもらうバラまき土産を購入します。しかし中国人は関係性の薄い人へのお土産は用意しません。安物のお土産を人に挙げるのは失礼と考えるからです。安物のお土産やバラまき土産を買うくらいなら、大切な人やお世話になった人に一点豪華なお土産として手渡そうと考えます。ある調査会社の発表によると、中国の都会部の年間贈与費用が収入の25パーセントを占めていたそうです。
1980年代初頭、日本にやってきた友達の中国人は、街角で無料でもらえるポケットティッシュに驚き、「日本の高級ティッシュ」としてバラまき土産にしていました。当時は安くて素材のいいパンティーストッキングも喜ばれました。知り合いの中国人に同行して、大阪駅ビルのパンティーストッキングの専門店に入ったときはとても恥ずかしい思いをしました。このようなことを書くと、ひょっとして中国人はケチと思われるかもしれませんが、こと食事に関しては全く日本人と逆になります。
中国を訪れた経験のお有りになる方はご存知でしょうが、大皿に山盛りの料理、お腹が一杯なのに尽きることなく出てくる数々の料理。それでも会計を確認すると、そんなに高くないのには驚かされます。ただし、中国国民所得と比較したら、とんでもない高値なのですから、ここにも毎度登場する中国人の「面子」が現れています。
今でこそAA制(日本人の割り勘)、弁当一個だけの会食などは、中国人から見れば全てケチにしか見えません。中国人の会食は必ず数種類、しかも残ってしまうほど多目に注文し、基本的には誰か一人が全員分を支払います。そして次の店では別の人が負担する仕組みです。会計は必ずしも個人のポケットマネーとは限らず、多くの場合、会社の接待費から捻出されていましたが、政府官僚や共産党幹部などは様々な財源がありました。同席の企業関係者や個人経営者などに支払わせたり、サイン一つで高級贅沢料理も普通に楽しんでいました。
次号では習近平氏が国家主席となって以降、驚くほどの変化が現れるようになり、ご紹介したいと思います。