2008年、香港在住の精華大学卒業生が美術市場で購入した墨書竹簡を精華大学に寄贈したのですが、その竹簡は悪臭に満ち、竹簡の順番がバラバラ、一部破損しており、明らかに墓からの盗掘品だったそうです。清華大学の出土文献研究与保護中心では専門家を終結させ、本格的な研究を進めました。温度、湿度管理された部屋に2,500枚の竹札を並べ、3ヶ月間、乾燥と汚れ除去を行い、放射性炭素年代測定を行った結果、これらの竹簡は紀元前310年頃のものと判明しました。
その後、4年間の研究を重ね、内容と書体から60種類以上の異なる文書であることが判明、殆どが『書経(尚書)』の一部と戦いに関するものでしたが、21枚の竹簡だけは数字ばかりだったため清華大学の数学史学者、馮立昇氏が調べたところ、世界最古の十進法の計算表であったことが明らかになりました。馮氏は、この十進法によって土地の面積、作物の収穫高、税などの計算に使われたのではないかと発表しています。
秦始皇帝は中国統一後、焚書坑儒を行いましたから、恐らくこの竹簡は墓に埋められたため難を逃れたもので、中国の歴史的、知的、哲学的側面を現代に見せつける物的証拠となったものです。