国潮(愛国心)-2
更新日:2022年08月15日
さて、現代中国では若者を中心に「国潮」という新たなトレンドが生まれています。「国」は中国を、「潮」は中国語で「おしゃれ」を意味しています。つまり、中国のオリジナル、もしくは中国的な要素を取り入れたファッションを指しています。
一体、なぜ中国の若者は「国潮」に惹かれるのでしょうか。先日、ニュースで見たのですが、北京にあるスポーツブランド店では、最も目立つところに漢字がプリントされた洋服がずらりと並んでいました。また、コスメブランド店では中国の絶滅危惧種である鳥をイメージしたアイシャドーパレットが並んでいました。新たにオープンしたカフェの中には中国のレトログッズが多くインテリアされており、食器のデザインやポスターに「喜び」が二つ、つまり一気に倍やってくる「★」字がデザインされ、客が写真を撮っていました。
多くの若者が「国潮」に対して「誇り」という言葉を口にするのは、そのブームの背景に「愛国心」があると思われます。「愛国心」が高まる理由は「中国の発展」が考えられています。世界第二位の経済大国になり、半年前には北京で冬季オリンピックも成功しており、国の発展を身近に感じているからこそ国民たちの愛国心が高まっていると思われます。
次に「国産品の品質の向上」が挙げられます。かつては安い労働力を生かした「世界の工場」と言われた中国は、近年、単なる安い下請けではなく、自国のオリジナルブランドを大切にする風潮が増えています。特にコスメ製品は海外進出を果たし、日本のショップでも見かけるようになりました。
2年前に中国政府は若者らに対する愛国主義教育の強化を指示しました。香港デモを念頭に「祖国を分裂させる言動とは断固として闘う」とし、思想統一をより一層、強める方針のようです。香港や台湾などで「一国二制度」の教育を強化し、国家への帰属意識を高めると強調し、また習近平国家主席の思想を企業や軍をはじめ、教育機関や農村、インターネット空間にまで浸透させるとしています。中国の若者の「国潮」人気、これからますます高まっていくのではないでしょうか。