日本では冠婚葬祭など儀式の日程を決めるとき、結婚式は「大安の日に挙式をしよう」とか、葬儀は「友引の日は避けよう」などとする風習が残っています。この大安や友引などは、古代中国の「六曜」という暦、つまり時間を区切る際に使われていた考え方に基づいています。
三国志で知られる諸葛孔明が戦いの日を決める際、吉凶の日を決めるのに発案したとの俗説まであります。この六曜が14世紀の鎌倉時代の日本に伝わり、江戸時代半ばから幕末以降に掛けて急速に広まり、六曜の先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口の術語が確定するのは江戸後期とされています。そして明治6年(1873)に太陽暦が採用されてから普及しました。
現在、日本で使われている六曜には以下のような意味があります。
先勝…午前は良く午後は悪い。通夜や告別式などの葬儀では良くない日。
友引…正午のみ凶。通夜や告別式などの葬儀では良くない日。
先負…午前は悪く午後は良い。先勝と正反対の日。
仏滅…一日中、最凶。六曜の中では最も悪い日。
大安…一日中、良い日。大安吉日。六曜の中で最も縁起がよい日。
赤口…昼のみ吉。朝夕は凶で、災いに遭いやすい。火の元や刃物に注意すべき日。
日本では明治維新による西洋化の一環として、「明治5年11月9日太政官布告337号」(1872年)において
「今般改暦之儀別紙詔書写の通り
仰せ出され候條、此の旨相達し
候事」
と太陰暦を太陽暦(新暦)が採用されるようになり、六曜による吉凶が載った暦注が禁止されました。政府は尋常小学校の教科書にも吉凶に関する暦は迷信で信じるなと記載したのです。
次号では、いきなり脱線しますが、陰暦と太陽暦の関係から閏年(うるうどし)にあたる明治5年から明治6年元旦までのゴタゴタについてお話しします。