呉越同舟-2

更新日:2023年06月15日
孫子竹簡

 それまで戦争の勝敗は天候や運気に左右されるという考え方が根強かったのですが、孫武は戦争記録を分析・研究し、勝敗は人為によることを悟り、そのための指針を理論化し、本後世に残そうとしたのです。その内容は計篇、作戦篇、謀攻篇、形篇、勢篇、虚実篇、軍争篇、九変篇、行軍篇、地形篇、九地篇、火攻篇、用間篇の13篇からなるのですが、篇名とその順序は、1972年に中国山東省臨沂県銀雀山にある前漢時代初期の墓から『孫子』・『孫★兵法』の竹簡の双方が出土したことから判明したのです。
 竹簡の総数は約7,500枚、そのうち文字が確認できる竹簡は約5,000枚、書体は隷書に属し、前漢の文帝・景帝の頃から武帝初期に至るまでに書写されたものと推定されました。この竹簡孫子の出土によって著者は孫武であるとほぼ確定しましたが、孫子の成立時期が紀元前134年から紀元前118年のものと推定されたり、かなりの後世の加筆が認められるなど、多くの議論の対象となっています。
 現代社会に置き換えれば、競争社会であるビジネス社会においても「呉越同舟」の場面がよく出てきます。ライバル企業同士が手を組むことによって、事業を成功させ、両社ともに大きな成果や利益を生み出すということもあります。元々のライバル会社ではあっても協力し合うことで互いの不足を補い合うことが出来たり、結果的に相性が良かったというようなケースもあります。
 チームスポーツでも同じことが言えます。日頃は仲が良くない2人が、チームの勝利ために抜群のチームワーク見せ、戦うにつれて2人の絆も深まるなどはまさに「呉越同舟」と言えるでしょう。政治の世界の「呉越同舟」だけは全くいただけません。政策が全く違う政党が選挙の時だけ協力し合うことは野合談合であり、このような政党や政治家は絶対に信用が出来ません。
 コロナ禍が続く現在、敵対同士であっても、手を携え協力して困難に立ち向かう「呉越同舟」でありたいものです。

★…月+賓

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