国鳥-1

更新日:2024年06月01日
旧一万円札裏面にある二羽のキジ
 その国を象徴するものにはいろいろなものがあります。日本では国歌といえば、入学式や卒業式でお馴染みの「君が代」ですが、日本人の文化や歴史を象徴する歌として、「国旗及び国歌に関する法律」第二条で制定されています。法律で制定されていませんが、「国鳥」もその国を象徴するものとして定めている例があります。
 例えば世界の国鳥を挙げてみると、アメリカは1782年に法律によりハクトウワシ、大韓民国は1964年に韓国日報の国鳥公募で選ばれたカササギ、その他にフランスはニワトリ、ドイツはシュバシコウ、オーストリアはツバメ、デンマークはコブハクチョウ、インドはインドクジャク、オーストラリアはエミュー(コトドリという情報もある)、ニュージーランドはキーウィ、メキシコはカラカラ、チリはコンドルなどとなっています。
 日本では戦後間もない1947年(昭和22年)に日本鳥学会が国鳥として雉(キジ)を選定しました。国の法令としての根拠は存在しませんが、キジは日本において古来から親しまれてきた鳥であり、表面にホログラムのない旧一万円札(D一万円券)の裏面に二羽のキジが印刷されるなど、国を象徴する鳥として親しまれています。キジが選ばれた理由として、美しい留鳥であること、民話や童謡でも馴染があること、オスは勇敢でメスは母性愛の象徴であることが挙げられています。一方、国鳥は手厚く保護される場合もあるのですが、日本では国鳥のキジが狩猟対象となっており、これは世界的に見ても非常に珍しいケースです。
 そして、中国の国鳥ですが、実は正式には決まっていないのです。中国では2004年5月〜6月に、国鳥を決めるために国家林業局と野生動物保護協会が大規模なインターネットアンケートで主催した「国鳥コンテスト」を実施しました。
 次号ではこの国民調査の結果が意外な事実となり、それが元で未だに中国に「国鳥」がいないことになってしまいます。その理由は次号でのお楽しみに。
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