新年好! もう2月になりましたが、明けましておめでとうございます。みなさんがこの原稿を読まれる頃はもうすっかりお正月気分もなくなっていることかと思いますが、旧暦の中国では今年のお正月は2月8日(月)です。本年も書道上達のために一生懸命「お稽古」に励んでいただきたいと思います。
さて、この「稽古」という漢字をすぐに書ける人は意外に少ないようで、それもそのはず、実はかなり古くからある言葉で、堯典『書経』尚書の「若稽古帝堯」に現れます。その注に、
若順稽考也
能順考古道而行之者帝堯
若は順、稽は考なり。
能く古道に順考してこれを行ふ者は帝堯なり。
とあります。つまり「若は順う、稽は考える」の意で、古道(前代帝王の道)に順って考え、実行できる者は帝堯となります。この「帝堯」とは、中国・五帝の一人で伝説上の帝を指すのですが、『史記』五帝本紀には、
帝堯とは放。その仁徳は天の如く、その知は神の如し。
とあります。教育の便宜を図り、民衆の教育を図り、諸国を協和させることで堯文化の源泉をなしました。道教においては天官大帝と同一視されるほどの存在だそうです。本文に「若稽古帝堯」がありますが、「古(いにしへ)に若(したが)ひ、稽(かんが)ふるは帝堯なり」と読み、ここから「稽古」は、昔の事柄を考えるという意味になりました。日本でも太安万侶『古事記』序文末に「稽古」が現れますが、全く同じ意味で使われていて、先人が遺した理想に近づくべく修練を積むこととされています。
次号では、稽古の大切さを説いた古人のお話にも触れたいと思います。