さて、そんな富裕層のなかで「土豪」と呼ばれる人たちがいます。中国語で「土」は野暮ったさや粗っぽいといった意味で、「豪」は煌びやかや華美という意味ですから、日本語で言えば「成金」と同じ意味です。
また「土」は田舎で、「豪」は富豪の豪ですから、つまりは「田舎の金持ち」という意味を指し、お金持ち、またはお金持ちに見えるけれど、行動パターンが品格の伴わない田舎者といった人たちを指し、非常に軽蔑されていました。
中国人は昔から貧しい人や地方出身者を見下す一方、金持ちを中傷する傾向がありましたが、最近は「土豪」を軽蔑するのではなく、彼らを理解し、逆に迎合するメリットが重要なスキルだと言われています。
これを上手く利用する多国籍企業の一例を挙げると、一昨年、アップル社が金色のスマートフォンを発売したとき、国営メディアがトップニュースで報じるほどの話題となり、多くの土豪が買い求めました。当時、アップルもここまで趣味が悪いのかと思いましたが、「土豪ゴールド」の呼び名がついたスマホ販売の成功例がその顕著な例です。
調査機関「財富品質研究院」が発表した「中国奢侈品(ぜいたく品)報告」によると、中国国内のぜいたく品市場規模は280億ドル、国外ぜいたく品市場規模は740億ドルの合計1,020億ドル(約10兆円)にまで上昇、世界中のぜいたく品市場の半数近くを占めるようになっているそうですが、政府要人は共産党の綱紀粛正とぜいたく禁止令で華美な生活が出来ませんから、ますます土豪の派手な消費活動は活発化していくと思われます。