不管三七二十一(何が何でも)−1
更新日:2015年06月01日
昨年末、中国最高指導者の習近平国家主席は、共産党政治局員に対し「習八条」と呼ばれる「反腐敗八箇条」を指示しました。会議の簡素化・効率化、出張の際の送迎・接待の簡素化と同行者縮小、各種の儀礼的慣行の禁止、質素節約の励行などを科したのですが、さらに今年からは個人資産などを党組織に報告するよう内部通達で指示、隠し財産や不正蓄財が露見すれば厳罰に処すとしました。それでもその後、違反件数2,665件、処分者数は2,990人に達し、ついには「虎もハエも一網打尽」キャンペーンを展開しました。
毛沢東時代から「打虎(虎退治)」とは汚職高官摘発のことを指しますが、習主席は表向きは「愛国、勤労」といった道徳を前面に腐敗官僚の追放を掲げ、実際は「大老虎(大トラ)」で、反腐敗として最大標的である前共産党政治局常務委員・周永康氏の総額1兆元(約16兆円)もの収賄や公金横領などについて汚職容疑で追及するという目的がありました。
手始めに周氏の側近らを次々と拘束することで外堀を埋め、前例のない政治局常務委員経験者の汚職容疑摘発へ着々と計画を進め、中南海の宿舎に軟禁状態に置いて以降、現在は党籍剥奪、身柄を司法機関に移しています。第18回党大会で引退した周氏に関しては、故・江沢民元国家主席ですら、周氏の政治的実績を理由に粛清に抵抗しましたが、習主席は「反腐敗」を武器に、一気に自らの権力基盤固めを計りたい思惑があるとみられています。
そんな習主席は、昨年末、北京市内の若いころ住んで土地勘のある、庶民的肉まんチェーン店「慶豊包子舗 月壇店」に突然訪れました。そのときの模様はアチコチのメディアが報道しましたのでご存知の方も多いかと思われますが、評論家の文章を見ると、「親民主席(庶民派)」をアピールする戦略と言う穿った見方をする人が多かったように思います。
次回はその辺りの模様について書きたいと思います。