●左上から表紙写真、殷商花園庄東地甲骨、戦国包山楚簡、左下から漢★王堆帛書、顔真卿書郭虚己墓誌、鮮于☆碑
先月号に引き続き、今月も昨年、中国で開催された貴重な展覧会のお話をしたいと思います。昨年9月28日、中国文学芸術家連合会、中国書法家協会の主催により 「承続:新中国新発見書法主題大展」が中国美術館で開催され、その展覧会図録『承続:新中国新発見書法主題大展』図録(670頁)が出版されました。本展は古典と創作の相互関係に光を当てた大規模な企画展で、原拓本や複製品を展示し、現代書家や学者がそれぞれ臨書、創作、解題を担当し、いつどこで出土したものか、資料的価値や書法的特徴などを示しつつ学習する機会を作ったものです。本書には1949年10月に新中国が設立されて以来、新出土した商代から唐代まで書道関連資料58点を厳選し、拓本に加えて前述の臨書、創作、題跋、解題などを掲載しています。
本展図録には、筆者が懇意にしているフフホト大学・石永峰氏の友人で、企画者でもある中国書法家協会大型活動処副処長・李寧氏が深く携わっていて、同氏からのご恵贈を賜った次第です。ちなみに石永峰氏は本書のなかで《厳仁墓志》の解題を執筆しています。
新出土資料としては特に注目すべきは殷商花園庄東地甲骨、戦国包山楚簡、漢★(さんずい+馬)王堆帛書を始め、苦労して原拓を入手した顔真卿書郭虚己墓誌です。鮮于☆(王+黄)碑は1973年に出土しました。姓を鮮于、名を☆、字は伯謙で、後漢時代の延光4年(125)に死亡し、その40年後の延熹8年(165)に建てられた碑です。『中国石刻大観 精粋篇七 鮮于校☆碑』(秦公/編 同朋舎出版1992)、『同資料篇2 漢2 三国』で、さらに『漢代石刻集成 本文篇(京都大学人文科学研究所研究報告)』(永田英正/編 同朋舎出版 1994)で収載した思い入れのある碑です。
次号では、21年前に大量に新出土した青銅器27点が北京で大展示され、この目で見るため単独訪中し思い出と感動についてお話ししたいと思います。