春天的晩上的情緒(春の夜の情緒)-1

更新日:2018年03月01日
清明上河図に見られる当時の街の様子
 いよいよ春が近づいてきました。3月と言えば春を迎える嬉しい予感と憂いが交錯する季節です。有名な中国古典詩で、春を詠んだ詩は数多くあります。
 杜甫の五言絶句「春望」にある「国破山河在(国破れて山河在り)」や、孟浩然の五言絶句「春暁」にある「春眠不覚暁(春眠暁を覚えず)」などは教科書にも紹介されていますから日本人なら誰しも知っているでしょう。
 今月は、春を詠んだ漢詩はあまりにも多いので、宋代を代表する春の夜の情緒を描いた詩についてご紹介したいと思います。
 まず初めに北宋第一の詩人・蘇軾(東坡)[1036年(景祐3年)〜1101年(建中靖国元年)]の七言絶句『春夜』です。
  春宵一刻値千金
  花有C香月有陰
  歌管樓臺聲細細
  鞦韆院落夜沈沈
 意味は「春の宵は趣深く、そのひとときの時間は千金にも値する」といった所でしょうか。「金」、「陰」、「沈」が韻を踏んで小気味よいリズムになっています。北宋と言えば、軍人出身の太祖は徹底した文治政治を行った影響で、商業が発達し市民経済が活発になりました。清明上河図には当時の様子が描かれていますが、船、馬車、人力など物流システムが発達し、店舗や露店が繁昌している様子が窺えます。
 この時代に生きた蘇軾は都市の繁栄を見ながら詩を詠んだのでしょう。しかしながら、左遷された杭州時代、副知事としての蘇軾は自分の快楽のために使う時間が有り余るほどあったそうで、芸妓と遊び、僧侶と蒟蒻問答を楽しみ、酔ったあとは必ず詩を作って芸妓たちに与え、時には詞を作って歌わせたといいます。
 次号では春の夜の情緒を描いた詩の双璧である王安石の『夜直』を通じて、王安石と蘇軾の交友についてご紹介します。
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