字源その1
書家や篆刻家にとって、漢字といえば最も身近なものであり、また興味のあるものですが、1つの単語の成立や起源を理解することも、やはり興味深いテーマでしょう。
以前テレビで武田鉄矢ふんする金八先生が、「人という字は、お互いが支え合って出来ている」と説いていました。
不景気が続く日本において、『幸』になるには「土(土地)」と「¥(お金)」が必要などと言っている人もいるようです。 漢字をこのように分解して解釈することを、「民間語源説」といいます。
小学生の頃、先生から「親という字は、『立』と『木』と『見』からできていて、いつも木の上に立って子供を見守っているのだから、両親に感謝しなさい」と言われたものですが、親という字は『見』が意符で『』が音符の形成文字です。
親の本義は「至る」であり、よって「両親」という単語は、言うならば「至れり尽くせり」といった意味合いとなるわけです。言われてみれば思わず「なるほど」と言わせるこの解釈は、残念ながら間違いです。
ひと昔前の詐欺事件となったペーパー商法で、「人」を「信」じれば「儲」かる、などというのは少し考えればすぐにでも分かる、とんでもない解釈なわけです。
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