字源その1(vol.2)
造語・新語を得意とするコピーライターの漢字に関する感性は、非情にユニークで、常に先端を走っており、感心させられます。スポーツ新聞や週刊誌・月刊誌の見出しや、新製品のキャッチコピーなどを見るとよく分かります。
例を挙げますと、タイガースが負けた翌朝のスポーツ新聞の見出しに、「阪神、虎転虎転」、「野村さい配虎ぶる」、ジャイアンツの場合だと、「またか嘘人」、ひどい例では、「ダメ害人(外人)」なんてのもありました。またプロ野球のシーズンオフにおける契約更改の交渉のことは、銭闘(戦闘)と表記していますが、いかにも交渉がもめそうな気がいたします。
少し古くなりますが、ビジネスマン用靴下のキャッチコピーとして、大ヒットした「通勤快足」や、某メーカー冷蔵庫の「模範解凍(解答)」、近頃よく見かけるワインのCMで「彩色健美」(才色兼備)などは非常に当を得たものであり、またインパクトもありました。多くの女性が、飲んで美しくなるワインなら…なんて思われた方もいらっしゃるでしょうね。いずれにしてもこのキャッチコピーの出来如何で、新製品の売り上げが大きく左右されるわけですから、コピーライターの仕事も大変だと思います。
しかし、なかには字源や語源を無視したものや、本意からかけ離れたものも、新語・造語として大衆化されつつあり、識者の憂いとなっているようです。
先日女性週刊誌で見たのですが、見出しで毒舌タレントの談を、「大口撃」、「舌好調」とルビなしで表記しておりました。このようなコピーは、ワープロ・パソコンのキーボード変換を利用して作っているようです。まさに文字は書く時代から打つ時代になったということでしょうか。しかし文字を書かないことが原因で、最近とんでもない誤字・脱字を書いたり、また漢字を読めない人が多くなったということを耳にします。
注意したいものですね。 |