敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

字源その2(vol.2)

 前回は「女」に関連する漢字についてお話しました。一方「男」に関連する漢字を見てみますと、代表的な『勇』はいさましい、思わず胸を張ってしまいそうですね。 巨漢、熱血漢、大食漢など「漢」の字も男を意味することは明らかです。ところが「漢」の字は悪い意味にも使われることがあり、たとえば痴漢、頓珍漢などがその例です。
 同様に「母」字の本来も、「女」字に乳房を表す2つの点を加えた象形文字でした。未婚を意味する「女」とは授乳という重要な機能を考慮して、厳密に分けられていたのです。女性がいなければ子孫が途絶えてしまうわけですから、やはり母は偉大な存在だと言わねばなりません。ただしここでいう「男」字と「女」字の字源といった本題からは外れてしまいますので、この辺りにしておこうと思います。
 では「男」と「女」を組み合わせた漢字を見るとどうでしょうか。男2人で女をはさむと、『嬲』。これは「なぶる」と読み、「愚弄する・もて遊ぶ」という意味になります。 ここまで話を進めてからでは、もうすでに遅いと思うのですが、そろそろ世の女性開放論者から総攻撃されそうな気がしてきましたので、その逆の『嫐』についてもお話ししておきたいと思います。
  『嫐』は『嬲』とともにJIS規格の第2水準に出てくる漢字ですが、『嬲』の異体字なのです。ですから当然のことながら、女2人で男をはさんでも、やはり「なぶる」と読み、「愚弄する・もて遊ぶ」を意味するのであります。
 私の住んでいる大阪府では、前知事に対するセクハラ訴訟での失脚、その後をうけて女性知事が誕生するなど、官公庁でも圧倒的に女性パワーが炸裂しております。自業自得の方といえばその通りなのですが、そうでなくても最近世の男性の肩身はますます狭くなってきております。何となく『嫐』の使用頻度の方が多い気がしているのは筆者だけでしょうか。