敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

誤解(vol.1)

 前回まで、日中の漢字表記についてお話いたしました。飛行機で3時間もかからない隣国・中国とわが国の国民性・文化の違いによる誤解は数多く、おもわず笑ってしまう誤解や、洒落にならない誤解までさまざまあります。

 
●日本の名湯       ●中国の名湯
 (温泉)        (フカヒレスープ)

  たとえば「湯」字は日本では文字通り「お湯」を意味しますが、中国では「スープ」を意味します。初めて日本に来た中国人留学生が、銭湯の「ゆ」の字を見て、スープを買いに行ったという有名な話があります。もし彼が温泉街で「名湯」の字を見つけたら、さぞかし美味しいスープが飲めると思うでしょうね。しかしこの彼、スープを買いに行ったつもりなのに、扉を開けたら素っ裸の人でいっぱいだったら、さぞかし驚いたでしょうね。 逆に初めて中国に行った日本人が同行する中国の人に筆談で「走?」と言われて走り出したなんて話があります。「走」は「歩く」の意味です。本当に急いでいるときは「快走」と言います。でも雰囲気で分かりますよね。
  また日本語の「手紙」は中国では「トイレットペーパー」を意味します。中国から帰国する際、「手紙くださいね」と言ったら、相手の中国人はびっくりするでしょうね。手紙は正しくは「信」と表記します。
  他にもまだまだあります。中国の都会部では母のことを「媽」と表記しますが、地方に行くと母は今でも「娘」、または「娘娘」と表記します。娘さんを訪ねたところ、母親が出てきて「わたしが娘です」と言い、「わたしは母です」とおばあさんが出て来るといった訳の分からないことになってしまいます。母がいる限り何歳になっても娘と表記しますので、みなさんご注意下さい。