敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【靴下】VOL.1


●水虫にもいい5本指ソックス、最近はお洒落です。

 最近ちまたの健康ブームのおかげで、人間の足元を見直すビジネスが増えつつあります。たとえば足裏マッサージが顕著で、あちこちにマッサージ店がオープンされています。足元にこだわるのは日本人の特徴のようで、最近靴下の専門店も出現するようになりました。そもそも日本人が靴下を穿くようになったのは大正時代の終わりくらいからですので、わずか80年ほどの歴史しかありません。
 しかし日本と欧米の生活スタイルを比較すると、足元に対する意識の違いが理解できます。朝起きてからベッドに入るまで靴を履き続ける欧米人に比べ、家の中では靴も靴下も脱ぐことのある日本人。それだけ足元を気にせざるを得ないわけで、穴が開いていたり、ヨレヨレの靴下ではみっともないと思われるからでしょう。
 実は靴下の生産日本一は奈良県で、全国の半分以上を生産しています。ところが最近中国では、編み機の種類がイタリアのBRAVO、韓国の中山、水山、そして、台湾のTAHEXIN、国産のB式機など非常に豊富になり、それとともに縫製技術も確かになったため中国製靴下に押され気味という状況にあります。
 中国では昨年「靴下の里」とよばれる浙江省大唐鎮で「第三回中国靴下産業博覧会」が開催されました。改革開放までは地場産業もない全くの田舎だったのですが、工業生産高が54.1億元にまで、また一人当たりのGDPも54.83元にまでなりました。
 現在では大唐鎮における靴下産業は主要産業であり、ここを中心に18鎮の靴下産業が広がっています。コンピュータ制御された靴下編み機は輸入により一万台にも達し、2001年の靴下生産量は60万台足で、全中国の靴下生産量の65%を占めているほどです。
 しかし逆に日本製靴下を中国に輸出し新たな活路を見出している企業もあります。中国人にとって日本製品は高品質・高価格でも裕福な人にとっては一種のブランドであり、マーケットとしても一大市場になりつつあります。現在における中国のバブル経済状況では高所得者層が5パーセントもいるといわれていますが、人口13億人の5パーセントもいるわけですから、その数は6500万人にもなります。
 その結果中国における高級靴下の消費伸び率は何と25パーセントにも及んでいます。次号ではわが国での生足ブームと、靴下の行く末についてお話したいと思います。