敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

古詩・名言(vol.1)

  みなさんはご存知だと思いますが、最近そのブームが話題にのぼっている「漢検」の影響からか、年々四字熟語を勉強する人が増えているようです。一昔前若貴ブームにわいたころ、「不撓不屈」「一意専心」など、ふだん聞き慣れない四字熟語が飛び出してきて、無知を恥じつつ熟語辞典を調べたものです。子供や生徒に聞かれて慌てた方も多いことと思います。 
 さてこの四字熟語のルーツは、そのほとんどが中国の故事であるということはご存知だと思いますが、書家の先生方は小作品や色紙などの題材に使ったり、お弟子さんや生徒さんのお手本に用いることもあると思われます。こういった名言のなかには、その意味を知れば知るほど「なるほど」と思わせるものが多く、「故事名言集」や「格言集」など、いろんな形で出版されております。 ところが「なるほど!」と思った途端に、まったく逆の意味の名言に出くわしたりいたしますと、「おいおい、いったいどっちだよ。」と感じた経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
  たとえば、着実に成果を積み重ねるときの例えに、「千里の道も一歩から」がありますが、「50歩、100歩」の例えでは、どちらも大差ない意味となる、全く逆の諺が存在しますね。
 また『孫子』九地篇より、敵対する者同志が協力せざるを得ない場合のたとえに「呉越同舟」という四字熟語があります。今の政界がまさにそういった状況ではないかと思いますが、「同床異夢」の熟語では全く反対の意味になり、同じ床でも考えはバラバラ、「いつ裏切られるかと思うとおちおち寝てはおられない」といった反対の意味の四字熟語があります。まだまだ他にもありますが、続きは来年までのお楽しみといたします。
  では皆さん、よいお年をお迎えください。