【新報(新聞)】VOL.2
中国の街中を歩いているとあちこちの売店で一紙一元(約14.7円)で販売されていますが、実は印刷費や販売のための配達費用などはその倍以上の経費がかかっているようで、広告収入によって赤字転落の危機を免れているのが実情のようです。
とくに当局から援助を受けられなくなった1990年以降は商業主義が蔓延し、企業努力で急成長を遂げた新聞社もあります。1952年に発行開始し、現在では市場占有率約50パーセントを占める「広州日報」の発表によると、2003年の新聞広告収入は前年比一割増の16億7000万元(約217億円)を記録し、中国各紙の中で10年連続一位を確保しているというから全くもって驚きです。
広告も多種多様で、かなりの量が紙面を独占しています。広告は今を映す鏡という観点で考えれば、広告を見れば今の中国の在り様がわかるという事かもしれません。とくにマンション広告、自動車、学校案内、留学案内、エステなどの広告も日常的に掲載されています。新聞に取り上げられればかなりの効果が期待できることから、昨今ではプレス発表に「お車代」と称したワイロを包む企業が増えており、当局もかなりの警告を発しているようです。
2004年の時事通信社『世界週報』では、このような中国の新聞が商業主義に走る傾向に注意を促しており、売れんがためのセンセーショナルな報道や、「過剰な民族主義」についても報道改革の必要性を訴えています。
中国では政治、経済、事件など敏感な報道に関しては相変わらず報道規制が多いことは、SARSの特ダネをいち早く発表した広州「南方都市報」編集長が汚職容疑で逮捕されるという「制裁」を受けたことでも明らかです。しかし社会が多様化している現在の中国において、当局発表の報道を伝えるだけでは読者を逃がしてしまうと危機感を持っている新聞社も多く、今後も特ダネ合戦は続くだろうと期待している筆者です。
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