敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【筆仙(こっくりさん)】VOL.2

 
●こっくりさん(左)と「ウイジャ盤」

 中国にも日本のこっくりさんに似た「筆仙」や「玩仙」という占いがあるのですが、なかでも「筆仙」は中国の同名恐怖小説を題材としたもので、現在中国の小中学生の間で大流行しています。しかし先に痛ましい殺人事件があり、社会問題化しています。
 「中国青年報」によると、北京のある女子中学生が、占いに熱中した生徒が「つらい現世を離れ、今度は自分が筆仙になりたい」と訴えたため求めに応じて殺害し、自らも別の女子生徒とともに自殺を図ったが死にきれなかったという事件が起こったそうです。同紙によると、加害者の女子中学生は試験で好成績が得られるかどうかなど常に「筆仙」に尋ねていたらしく、事態を重く見た当局はこの女子中学生に対し懲役7年の実刑判決を言い渡したそうです。現在北京では風水など占いに熱中する子どもが増えており、市当局は迷信を信じ込ませるような雑誌やウェブサイトなどを厳しく取り締まるとしています。
 さてこっくりさんで動く10円玉について、子供心に本当に動いているのか真剣に考えたことのある方は多いと思います。絶対誰かが意図的に動かしているはずだと友達を疑ったり、もし本当なら失敗したら死んでしまうとか真剣に悩んだ方も多いと思います。
 これには諸説があり、1800年代のマイケル・ファラデーや井上圓了らによる説では、「予期意向(あらかじめ心に期している意向)を反映して、無意識による筋肉運動(不覚筋動)によって動かす」とされています。
 またバーバラ・ホネガーによると、右脳と左脳はそれぞれ別のエゴを持っていて、その交信の結果として指が動くとし、この説はストーカー・ハントの著書で紹介されています。
 いずれにしてもこっくりさんの迷信に左右され、精神障害や事件に発展してしまうことは憂慮すべき問題だと思います。多くの症例は一過性のもののようですが、症状が持続する場合もないわけではなく、健全な児童たちに問題が起こらないよう祈るばかりです。