【中国盗掘事情】VOL.2
●盗掘防止モデルになった楊家村農民と出土状況
前号に引き続き保護法の主だった観点は以下の通りです。
1.文物経営活動を整頓し規範化する。たとえば文物流通の限界、ルートを明確にし、文物流通経営主体制度を確立し、文物流通への監督を強める。
2.考古発掘制度を整備し、盗掘行為を抑制する。考古発掘機関の資質制度をつくり、考古発掘活動への監督を強化する。
3.関係文物の出入国管理制度を完備する。
となっているのですが、この草案は法律的にはさらに細部にまで規定が設けられ、行政管理部門をはじめ、収蔵機関、経営機関、オークション関係企業に従事する人間によって文物犯罪行為が明らかになった場合、厳しい刑事責任を追及するものとなっているようです。
さて「飴と鞭」というわけでもないのでしょうが、中国政府は文物保護のための措置として発見・通報者に対して莫大な報奨金を支給する対応をみせました。2003年1月19日、陜西省眉県楊家村の裏山で、レンガ作りのための土を採取していた農民五人が、西周時代の青銅器27件を発見しました。
この青銅器発見は、周代の王族の名称や在位年数を始め、多くの歴史的に不明だった史実が明らかになる重要文物であったことから、彼らの発見と保護、県への通報は世紀の一大発見「盛世吉金」と評価され、政府は農民5人に対し年収の10年分以上にあたる2万元(約28万円)を報奨金として贈呈しました。
さらに北京で開催された出土特別展にも招待し、新聞各紙(筆者が確認しただけで27紙)でその栄誉を報じられました。これには、盗掘に手を焼いている政府の文物保護精神を広く社会に浸透させる格好のモデルとして盗掘防止に一応の成果をあげる目的があるようです。
|