敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【大★蟹(上海蟹)】VOL.1

 
●陽澄湖のカニ漁(CHAIより)

 食欲の秋の味覚を代表するものと言えば、我が国でしたら松茸、さんま、フランスではボジョレヌーボゥ、そして中国と言えば上海蟹(学名・シナモクズガニ)です。まったりとした濃厚なミソ、口中に広がる旨味、たとえ宴席であっても蟹を食べ始めたら途端に静かになってしまうくらい魅力的な食材ですが、とくに上海蟹の場合「至福のとき、究極の沈黙」がピッタリの表現と言えるでしょう。
 上海語で大★蟹(上海蟹)の産地は、蘇州市東北部に位置する巴城鎮にある陽澄湖であることは意外に知られていません。周囲50キロ、面積120平方キロの陽澄湖は、湖底が透き通って見えるほどきれいな水が自慢の湖です。湖底まで日光が行き届くことから、蟹の餌になる生物や水草も実に豊富で、上海蟹にとってはまさに理想的な環境の生育です。
 そのため陽澄湖でのみ名乗ることの出来る上海蟹は体が大きく締まっており、また身もよく詰まっていて、さらにみそや卵もよく肥えていて、世界中のグルメたちにとって垂涎の的となっています。
 さて本場・陽澄湖で水揚げされる上海蟹は、年間1200トンと言われていますが、そのうち上海に出荷されるのは全体のわすが8パーセントにあたる100トンにも満たないそうです。その他には北京、天津、深☆、広州など国内主要都市、海外に至ってはわずか数十トン程度に留まっています。統計によると、上海人は一日で400トンもの上海蟹を食べることから、いかに上海蟹が貴重で、それ相応の価格になってしまうのかがお分りいただけるかと思います。
 となると、当然現れるのが、毎度おなじみの「ニセモノ」です。次号では上海蟹で設けようと、いろんな手段を駆使している人たちについて、お話したいと思います。