敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【真面目】VOL.1


●杭州市の岳飛廟にある岳飛像(右)と、湖北省荊州博物館に立てられている関羽石像

 日本人は「真面目」という言葉が好きな国民です。敗戦による焼け野原から世界の先進国にまで成長した背景には、勤勉で地道な努力を重ねた、所謂「真面目さ」が大きな原動力になったのは間違いのない事実だと思います。 ここで使われる「真面目」という単語は、「真面目に仕事をする」とか「真面目に生きる」というふうに副詞として使われていますが、「真面目な話」や「真面目な人」と形容詞として使われることもあります。
 この日本語の「真面目」は「本心で嘘や偽りがない」ことを意味しますが、中国語で「真面目」というと「本当の姿」という意味になり、「隠れた」というニュアンスが隠されていて、全く意味が違ってきます。言わば「正体」という意味合いが強くなる訳です。一般的には悪い意味に使われる場合が多いようで、たとえば「他終于露出了他的真面目」だと、「彼はついに正体を現してしまった」という意味になります。
 敢えて表現するなら、「真面目」は中国語では「認真」「真心誠意」「老実」或いは「正経」となりますから、一般的に否定した場合を除けば良い意味の使われ方をします。しかし日本語でも「真面目」の否定形とした悪い表現があります。たとえば「生真面目」がそうですし、それが進化すると「クソ真面目」となり、これを中国語では「死心眼、死認真」と表現します。
 余談ですが、「真面目」から「真」を取った「面目」となると、日本語でも中国語でもその意味は同じです。「体面」「メンツ」で、「自分の本分を守る」は中国語で「守自己的面目」と表現します。
 昔から「正義の味方」という英傑(ヒーロー)がいますが、中国を代表する英傑と言えば関羽と岳飛の「二大武聖」が挙げられます。ともに武勇絶倫で、義に篤く、友情を重んじ、人格能力ともに優れていながら悲劇的な最期を遂げた英雄です。「判官びいき」とも言うべき感情は、日中変わらない感情のようです。台湾にも文武廟が作られていて、文の神として孔子、武の神として関羽、岳飛が祀られています。