【計画生育とその弊害 】VOL.2
●後漢・画像磚に見られる学校。国立大学は「辟雍(へきよう)」、省立大学は「?宮(はんきゅう)」と称しました。
一方、一人っ子政策がもたらした問題も多く、まず人口の高齢化が懸念されています。2030年には65歳以上の老年人口が15パーセントという急激な高齢化社会到来が予想されています。次に農村部における伝統的男子出産偏重による男女数のアンバランス、さらにそこから発生する女子の間引き(殺害)、捨て子、などの人権問題、嫁不足などをもたらしています。そして「黒孩子」問題が挙げられます。これも農村部での問題となっているのですが、第二子を出産しても戸籍に入れてもらえない「黒孩子」は、当然のことながら教育、医療など行政のサービスも受けることが出来ません。
最後に「小皇帝」「小女帝」問題です。一人っ子に対する両親、その両親の祖父母たちによる過保護問題で、子供の性格が甘えや自己中心的思考になったり、栄養過多による肥満や糖尿病など、都会部を中心にかなり表面化しています。都市部に住む男子の四人に一人は肥満で、20年前の100倍以上に急増しているそうです。宿題やオンラインゲームなどの影響で在宅時間が長く、さらに運動量が不足しているとの指摘があります。また一人っ子の将来を苦慮する専門家からは、兄弟を持った経験のない一人っ子は、将来自らの子育てついて能力を発揮出来るかなど指摘されています。
さて、現在中国の人口増加率は2パーセントを下回り、先進国の水準近くにまで減少しています。二一世紀半ばまでに一六億人程度に抑えるという目標も達成可能といわれています。日本では2000年に老齢人口が年少人口に対して、率、数ともに上回ってしまいましたが、中国も2040年には同様の事態になると推測されています。人口の高齢化が、経済や社会に与える影響を予測し、また高齢者養護とその保証体制作り、さらには平均寿命の延びと教育水準の向上によって、男女格差・地域格差をなくすことがこれからの中国に求められるのではないでしょうか。
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