敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【春節2】VOL.1


●桃符(左)と朱元璋(洪武帝)

 中国農暦の新年で最も重要な祭日「春節」は、暦の関係で今年は2月7日になります。元来春節は「春年」といったのですが、古代辞書には「年」は「禾」部に収められていて、当初「稔」と言う表記でした。おそらく「谷禾豊稔(五穀豊穣)」を祈念してのものと思われますが、近代になってから「年」が「節」に変化したようです。
 中国の有名な伝説に、大晦日になると獰猛で残酷な「年」という動物が人間を食べるという話があります。その「年」を撃退するために一晩中明かりを灯し、門に赤い対聯を張り、爆竹を鳴らしたところ、効果があったと伝えられています。
 その説から、中国では春節の期間には家の軒並みに桃の木で作った「桃符」という二枚の板を門の両側に掲げ、そこに門神や真赤な対幅に吉語を書いた紙を貼って新年の気分を盛り上げるようになりました。
 代表的な対句に「物華天宝、人傑地霊(豊富な物産は天の賜物、優秀な人材は地の霊気によって生まれる)」とか、「歳々平安日、年々如意春(年ごとに平安な日々を迎え、年々が思うがまま春の如し)」などがあります。
 対聯の様式が木の板から紙に書かれるように変わったのは宋代になってからと言われています。宋代では翰林院学士や文人は、自詠の詩句を宮城の門に掲げましたが、この風習は後世・明代になり太祖・朱元璋(洪武帝)が提唱したことから対聯(春聯)として流行しました。
 次号では、中国の一大イベント「春節」の模様についてお話ししたいと思います。