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【ニセモノ被害】VOL.2


●文人画偽造セット発見の記事。

 ニセモノ作りは我が国も同様で、昨年京都市内で江戸時代に活躍した文人画家の贋作づくりに使用したとみられるニセ落款印が大量に見つかりました。ニセ落款は、与謝蕪村(1716〜83年)をはじめ17人にものぼっており、専門家は「使い込んだ精巧なニセ印がこれだけ見つかるのは極めて珍しく、おそらく大正時代の贋作グループが残したものだろう」と話しています。ニセ落款はすべて木製で、京都市内で開かれた骨董市で見つかり、蕪村のほか、頼山陽らと親交のあった浦上春琴(1779〜1846年)、円山応挙門十哲の一人で唐美人を得意とした駒井源★(1747〜97年)ら江戸時代に活躍した有名文人画家たちの印も混じっています。蕪村のニセ落款「朝滄」は、蕪村が四十代のころ、京都のしがらみから逃れるため、丹後宮津(現・京都府宮津市)に滞在して画業に専念していた充実期に使用していた雅号印です。また春琴のニセ落款「睡庵」は、晩年に用いた雅号で、とくに山水、花鳥画に高い評価を得ています。それぞれの印は欠け具合なども精巧に作られています。大正時代には、江戸期の画家の評価が急速に高まり、高値で売買されていたことから、無名画家、表具師、画商の三者が共謀した贋作グループが暗躍し一儲けしたようです。
 昭和7年発行の「書画鑑定指針」によると、与謝蕪村の『梅谿図』が大正12年に8,180円、浦上春琴の『秋景山水』が大正14年に2,789円、駒井源★の『楊貴妃』が大正13年に4,600円で取引された記録が残っています。当時は自転車が約70円の時代ですから、蕪村らの作品は相当高額で売買されていたことから、贋作グループに狙われたと思われます。「需要あるところに贋作あり」、授業料くらいでは済まない高価な贋物を掴まされなしよう、くれぐれもご注意くださいね。