敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【留学日本】VOL.2


●2007年度版「日本華僑・留学生運動史」

 実際、中国人が日本に留学するためには、その一部に密入国の誘いや蛇頭の資金源とも言われる悪徳留学斡旋業者が暗躍していて、これまでにも出版やルポという形で告発されています。また経済的理由、日本側の受け入れ先不在など様々なハードルもあり、容易なことではありません。さらに中国人学生が日本に留学するために必要な条件として、少なくとも日本語能力考試二級程度の会話力に加え、働きながら勉強しても半年以上の経済力(生活費)があること。さらに、精神力や学習意欲・能力、健康、日本の文化を十分に理解出来る素養なども求められます。
 留学生の年間学費は少なくとも私大を例にとると約60万円程度、月間生活費が家賃を含めて約12万円と算出すると、年間最低200万円は必要になります。日本の大学教育は授業時間については比較的自由が効くといっても、アルバイト収入で生活費を得ることは大変で、その状況下で留学生活を続けることはまさに「刻苦勉励」と言えます。大学卒業後、そのまま大学院に進学することが最も理想的な選択とされています。
 昨年出版された「日本華僑・留学生運動史」出版祝賀パーティーで、前・王毅在日本中国大使は、「多くの在日華僑たちが愛国の旗印を高く掲げ、困難の克服、祖国の尊厳と自身の正当な利益保護、中日友好の推進、祖国建設への支援、中華文化のアピールなどの面において重要な貢献をなしてきた」と賞賛しました。今後は中国の一部のスーパー・エリートや富裕層のための留学や日本国内の秩序のための規制だけでなく、我が国の入国管理局が掲げる「留学生は未来からの大使」を実現するべく、時代に即した留学制度が求められると思います。