敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【海亀派(留学帰国組)】VOL.1


●第17回全国人民代表大会の模様(左)と、上海市役所前でスノボに乗って遊ぶ若者(日本と同じです)。

 現代中国の経済発展はめまぐるしく、富裕層や中産階級が増加し続けています。それに伴い、一人っ子政策による我が子の出世に対する期待の顕れは、高等教育を受けさせることに直結し、教育熱、教育費用にそのまま反映しています。かつては高等教育を受けた人が海外に留学すると、そのまま欧米企業などに就職してしまうことから、「優秀な人材の海外流出」と、中国政府はあまり歓迎しなかったようです。
 1978年の改革開放以降、出国した留学生は約45万人いますが、帰国して就業したのは3分の1に当たる約15万人というデータが発表されています。
 一昨年のデータによると、海外留学生はついに年間15万人を超える過去最高数を記録しましたが、最近、海外で学問、研究を重ねた優秀な人材が、経済成長の著しい祖国に希望を抱き、故郷に戻って政府機関の若手幹部として働いたり、大学や研究機関の中堅になるケースが増えています。実は、中国の大学学長の約七割は海帰派(留学組)という統計もあるようです。
 またビジネス面でのスキルを身につけた優秀な人材は、ハイテク産業、証券・金融、法律服務、多国籍企業などの経験を生かし、一流企業でさらに実力を発揮したり、またはベンチャービジネスを起業して大成功するケースも増えています。グローバルな視点を持った人材によって、今後は中国の政治形態も一層透明、開放、寛容の方向へ変化すると見られています。
 さて、海帰派が相次いで帰国してきた背景には、政府の優遇政策が挙げられます。たとえば、「流出頭脳の帰国促進」のための「免税措置や研究費支援」、また起業、創業する場合の「特別融資、特別補助」、「留学生創業パークでの優遇措置」などの新制度をつくり、大々的なキャンペーンを展開しました。
 しかし、留学生が急増し、中国国内の大学進学率も高まった現在では、このような状況にも大きな変化が出てきました。詳しくは次号にてご紹介します。