敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【対日新思考外交】VOL1


●胡錦濤国家主席と劉永清婦人

 今からちょうど一年前の5月6日、胡錦濤国家主席が中国の国家主席としては10年ぶりに公式訪日しました。胡主席の行動は連日トップニュースとして報じられましたが、晩餐会、講演会、卓球など、テレビで報道されるどの場面でも胡主席の表情が豊かで、非常にフレンドリーな5日間の交流と思われました。
 筆者は、それとは逆に、北京五輪を控えていた当時としては、「中国製餃子事件、チベット問題、東シナ海ガス田問題」など、核心部分には触れたれたくないという印象が残りました。ただし、そんななかで最も注目すべきだったのは、両国トップが「『戦略的互恵関係』の包括的推進に関する日中共同声明」に署名した点です。
 大きく5つの柱からなるこの共同文書は、
 1.政治的相互信頼の増進、
 2.人的、文化的交流の促進及び国民の友好感情の増進、
 3.互恵協力の強化、
 4.アジア太平洋への貢献、
 5.グローバルな課題への貢献
からなり、将来にわたって協力していくとしています。また、両首脳のどちらかが、年に一度は互いの国を訪問することにも合意しました。これにより日中間の共同危機管理構造の確立に一歩前進したと言えます。
 さて、現代中国は、急激な経済発展に加え、北京五輪、上海万博による建設ラッシュの結果、大気汚染などの公害問題を抱えています。日本も東京五輪を開催した際、同じく建設ラッシュによる公害問題を抱えましたが、経済発展を犠牲にすることなく公害問題を克服した点は、現代中国が最も学びたい点だと思います。
 さらに、日本は東京オリンピックから4年後に西ドイツを抜いて世界第2位の経済大国となり、しかもそれから40年間、国際競争力を発揮して経済大国世界第2位の座を保続し続けています。