【牡丹花】VOL.1
●樹齢70年の牡丹
牡丹の原産地は中国で、何と1500年もの栽培の歴史があります。漢代(紀元前206〜220年)から早くも薬用植物として栽培されていて、『神農本草経』に記載されています。牡丹は南北朝(420〜589年)時代からは観賞用植物にもなり、則天武后が牡丹を愛でた唐代以降は、「花の王」としてどの花よりも愛好され、詠まれ、描かれてきました。
別名に「富貴草」「富貴花」「百花王」「花王」「花神」「花中の王」「百花の王」「天香国色」 「深見草」「二十日草(廿日草)」「忘れ草」「鎧草」「ぼうたん」「ぼうたんぐさ」など多数あるのは、それほど多くの人々に愛されたからでしょう。
牡丹を詠んだ有名な詩に、李白の「一枝濃艶露凝香 雲雨巫山枉断腸 借問漢宮誰得似 可憐飛燕倚新粧」、また白居易(白楽天)『牡丹芳』の「花開花落二十日 一城之人皆若狂」があります。日本では、8世紀頃には栽培されていたようですが、文学に最初に登場するのは『枕草子』で、その後、怪談『牡丹灯篭』や葛飾北斎などが好んで題材に使っています。
清朝以降、1929年、当時の中華民国政府が国花を「梅」と定めまでは牡丹が中国の国花でした。中華民国政府が台湾に去ってからは、公式の国花は定められていませんが、現在「牡丹、蓮、菊、梅、蘭」の中から新しく国花を制定する作業中だそうです。
さて、中国には牡丹栽培の盛んな地方は多くありますが、その中でもっとも有名な牡丹は「カ沢牡丹」です。古くからカ沢は曹州と呼ばれ、「曹州の牡丹 天下に甲(第一)たり」と称されました。江蘇、山東、河南、安徽の四省の境にある平原に位置するカ沢は、黄河の堆積によってできた地域です。温暖で雨量の多い気候の影響で、土地は肥えており、比較的四季が明確なため、牡丹栽培には恵まれた気候条件だそうです。
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