敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【鄂温克(エヴェンキ)族】VOL.1


●鄂温克族(左)とその住居「パオ」
 
 近中国には55もの少数民族がいることはみなさんもご存知だと思います。昨年、関口知宏が中国鉄道大紀行という番組で、「最後の狩猟民族」と呼ばれる少数民族「鄂温克(エヴェンキ)族」を紹介していて、初めてその民族について知りました。
 エヴェンキ族は満州・ツングース系の「無文字」民族で、シベリア、大興安嶺の原始森林に分布しています。中華人民共和国の建国後、1958年に呼倫貝爾(ホロンバイル)市南部に「鄂温克族自治旗」を設立しました。自治旗政府は現・モンゴル自治区の巴彦托海鎮にあります。総面積は四国と同じくらいの19,111平方キロメートル、草原が62パーセント、森林が34パーセント、あとは湿地や河川という地域です。
 言語や宗教、芸術面などで、アイヌ民族との文化類似性が指摘されていますが、 現在でもシャーマニズム信仰は盛んで、あらゆるものに神があると信じている部族です。
 エヴェンキ族は、17世紀、ロシア帝国のシベリア侵入によってロシア領内となりますが、清朝廷のロシア国境防衛政策により、現在の中国・内蒙古自治区フルンバイル地域に派遣・駐屯させられました。そのときに大興安嶺に生活していたエヴェンキ族の一部は狩猟生活をやめ、遊牧文化へ移行するようになったようです。
 敖魯古雅(オルグヤ)郷に住むエヴェンキ族は、内蒙古自治区根河市の大興安嶺原生林で、狩猟やトナカイを飼育する牧畜、また各種の野生動物の皮を売って生活していました。ここで暮らすエヴェンキ族は230人ほどで、なかでも30人ほどは、昔ながらの原始的な生活方式を続けているということでした。家畜は「五畜」といわれる、羊、牛、山羊、馬、駱駝を放牧していますが、とくに牧草は有名で、日本ほか数カ国に輸出しています。