敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【鄂温克(エヴェンキ)族】VOL.2


●多くの観光客が訪れる雪上ナダム大会(左)と切手
 
 ホロンバイル草原に住むエヴェンキ族の伝統的民族祭祀「オボー」は、今では写真のような「雪上ナダム大会」に替わり、雪上競馬・駱駝ソリなどは、地元経済の発展に大きく貢献するパフォーマンスに変わるなど、観光化や管理を目的とした行政主導が増えてきました
 そして、2003年頃から前号でご紹介した敖魯古雅地区の生態保護を目的とした居住者の立ち退きプロジェクトが決定、実施され、1,000万元を投入してエヴェンキ族の旧居住区から260キロ離れた場所に新居住区を建設しました。新しい住居は、白壁に赤屋根のレンガ造りで、中央暖房システム。
 さらに、大規模なトナカイの飼育小屋も用意するなど手厚い保護でした。政府が推進する移住計画ですから、山を下りる若者が急増し、それとともに生活スタイルも一変したことで、一族の「山の記憶」というDNAからが消えつつあるそうです。
 わずか数年で、両親ともにエヴェンキ族という純粋な子孫は、60人が残るのみとなったという記事を読みショックを受けました。
 かつては一族以外の人間と結婚することが許されなかったエヴェンキ族ですが、今ではそのような古い規律を守る若者が少ないそうで、そのため専門家は、20〜30年後には、両親ともにエヴェンキ族という純粋な血統は絶滅すると推測しています。