敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【中国バブル崩壊】VOL.1


●バブル崩壊を報じる読売新聞 (左)と、
 拍賣會(オークション)会場の模様

 新年おめでとうございます。2010年明けました。今年はいい年にしたいですね。
 さて、資本主義化の進む現代中国において、この数年間の不動産高騰はあまりにも急激でした。たとえば上海市では、市内中心部に近い内環状線内の地域に建ったマンションの平均価格は、2002年には、中流市民が買える範囲内と言われた一平方メートルあたり4,000元から5,000元までと言われていました。
 しかし、翌03年ごろから中国国内の投資家集団「温州商人」らが、上海の不動産高騰に目をつけて急激、かつ多大な投資を行い、その結果、上海浦東空港周辺に新たに開発された浦東地区を中心に、異常なまでの高騰が始まりました。筆者の友人でも「日本円で500万円投資してマンションを購入し、一年も寝かせれば倍になるよ」などと、そそのかされたものでした。
 また、北京五輪開催前からオリンピックを機に不動産は反落すると言われていましたが、実際に苦しくなった不動産業者が過剰サービスで手持ちの物件の処分を始めたり、全室家具・家電の無料提供や、一戸購入するともう一戸をタダで付ける業者まで登場するなど、過熱競争は逆に不動産暴落に繋がりました。そして、とどめは米国のサブプライム(高金利型)住宅ローン問題が起こり、あっという間に世界同時不況の余波を受けました。
 一昨年初め、温家宝首相は「最大の課題はインフレ対策」と明言しました。そして中央銀行は、金利、預金準備率などをたびたび引き上げましたが、それでも株価は大きく下落しました。問題の本質は、株式や不動産のバブル崩壊だけでなく、計画経済成長の根幹であった製造業の崩壊だったのです。世界レベルでの中国食品、製品を避ける傾向は、実体経済そのもののダメージとして顕著になったのです。
 あらゆる産業において、雇用を最も効率的に作り出すのは製造業と言えるでしょう。中国の実体経済、製造業の苦境は、間違いなく大失業時代に繋がっていくと予測されます。