敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【中国バブル崩壊】VOL.2

 
●拍賣會(オークション)の模様(左)と、 拍賣會図録

 日本でも1980年代後半に起こった「バブル経済」は1990年初頭に崩壊し、多くの市場経済崩壊になりました。市場原理から考えると、本当の意味でのバブル崩壊は株価下落の2〜3年後にやってくると言われており、中国における本格的なバブル崩壊は今年2010年の上海万博以降にやってくることになるでしょう。
 さて、彼らの過剰投資は前述した沿海部諸都市の不動産だけでなく、多岐の分野に広がりました。不動産は金融経済のメイン商品ですが、その派生先の最末端金融商品には中国美術が位置づけられました。
 実際に美術品市場の相場は、あたかも商品相場のように株や土地の値動きに見事に連動しました。そして上海の株価急落、さらに不安心理という"負のスパイラル"へとつながり、投資家やコレクターが収集を手控えているため、「オークションは金融市場に連動する」という説は皮肉にも実証されました。
 中国における美術品の値動きがこの一年どうだったかと言うと、中国の美術品の市場規模は、アメリカ、イギリスに次いで世界で三番目に大きいと言われ、とくに絵画を中心にこの3〜4年人気が高まっていました。実際、中国美術オークションで、「08年に落札価格が一億円を超えた作品が少なくとも75点ある」と言われており、中国美術市場は空前の「バブル景気」を迎えました。
 では、中国美術が純粋に評価されているかと言うと、一昨年の11月からは下がりっぱなしというのが現実となっています。これまで述べてきたように、あくまで投機や政治的な目的に売買されていたといわねばならず、的確な評価額であったとは思えません。美術が正当な評価を得るような世の中に戻って欲しいものです。