敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【中国結】VOL.1

 
●爆竹専門店(左)と、 中国結

 中国では旧正月前になると、街なかに「正月用の飾り物」を販売する特設売り場が設置されます。代表的なものに、赤や金を基調とした「提灯、ぼんぼり、花火・爆竹、窓飾り、春聯、紅包(お年玉用ポチ袋)」などが挙げられます。
 さて、旧正月に家族や親せきが揃う中国では、団らん・親密・友好関係などを表すときによく使われる中国結があります。中国結とは、中国結芸、結芸とも呼ばれる紐を用いた装飾結びの伝統工芸で、中国、台湾で考案され、発展してきました。数種類の基本結びと変化結びがあり、それらの組み合わせによって、無限ともいわれる多くの技法を作り出してきました。
 中国結の歴史は古く、春秋時代の遺物にその原型が確認されています。当初は王侯貴族に限られていたようで、その用途は、服飾としては腰に飾る玉飾りや帯の結びなどに、後代になってからはボタンとしての役割をもつようになりました。また、家具としては椅子や屏風の装飾、また扉や引き出しの把手にそのデザインが用いられるようになりました。
 清朝になると様々な技法が考案され、一種のブームとなったようで、清朝を代表する小説『紅楼夢』にも中国結の記述が見られるほどです。一方、台湾では1980年(民國69年)に、陳夏生がその著書「中國結」を出版、ここで初めて「中國結」の名称が使われ、その後のブームとなりました。
 中国結びのデザインは基本的には左右対称形が主流で、民間伝承の幸運、吉祥、調和、円満などを表すデザインが多いのですが、厄払いの意味をもあらわすことがあります。「福寿双全(幸福・長寿)」、「万事如意(万事が順調に進むように)」、「吉慶有余(喜び事があるように)」といった言葉が好んで使われます。