敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【小暑と大暑】VOL.2

 農家は猛暑のなか草取りや害虫駆除など辛い農作業が節目となる時期です。地球温暖化や都市化が進み、年々真夏日や熱帯夜が増え続け、毎年のように観測史上、平均気温が過去最高を更新し続けている状況に地球の危機が感じられます。
 冷房の普及により、現代人は汗腺が減り、体温調節が下手になったと言われています。この時期は、何もしなくても体力の消耗が激しくなるため、夏バテ防止のために精力のつくウナギを食べる習慣があります。「土用の丑の日にウナギを食べると夏バテしない」というのは、江戸時代の蘭学者・平賀源内がウナギ屋のために考えた宣伝文句であることは有名ですが、実際に良質のたんぱく質やビタミンAがたくさん含まれたウナギを食べて今夏も乗り切りたいところです。今夏は7月19日と31日が「土用の丑の日」です。
 小暑〜大暑〜立秋までの間が「暑中」にあたり、昔よりこの期間内に暑中見舞いを送るとされています。どんなに暑くても、大暑を過ぎれば「残暑見舞い」になります。そしてこの時期になると台風がやってきます。台風の呼び名には諸説ありますが、英語の「タイフーン(typhoon)」をもじったという説と、中国語の「颱風」に由来すると言われています。台湾には「六月一雷鎮九台、七月一雷九台来」ということわざがあり、「陰暦6月に雷が鳴ると台風が少なく、陰暦7月に雷が鳴ると台風が多くなる」という意味です。
 さて、ウナギを「武奈伎」と書いた万葉の人々は、このような猛暑のなかにも『朝開 夕者消流 鴨頭草乃 可消戀毛 吾者為 「鴨朝(あした)咲き夕は消(け)ぬる月草の消ぬべき恋も我はするかも」(万葉集2291 巻第十)』と涼しげに詠み、暑さを紛らわせています。
 って、そんな余裕はありませんよねぇ。