敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【纏足(てんそく)】VOL.1


● 素足の纏足 

 纏足(てんそく)とは、古代中国で約1,000年間に亘って女性に行われた、幼児期に足を脱臼、もしくは骨を折って折り曲げ、この状態で布を巻いて足が大きくなるのを防いだ風習です。人体の特定部分を長期的、また永続的に変形させる風習は文化人類学的には身体変工と呼ばれ、世界レベルで糾弾される対象となりました。
 一説では纏足は南斉の頃から行われたと言われていますが、10世紀ごろの南唐の皇帝・李Uが足の細い女性を好んだことから始まったとする説も有力です。その南唐を北宋が滅ぼして中国統一を果たした以降、纏足は徐々に普及し、小ささ足は女性の美の象徴ともてはやされるようになり、3寸(約9センチ)の纏足は「金蓮」と当時の作家や詩人も称賛しました。蒙昧な時代には纏足を施していない女性は嫁の貰い手がないという状態にまでなったそうです。
 貴族階級では女性が外出できない状況を作って貞節を維持させたこと、足が小さければ踏ん張る必要があり、走ることが困難になり、そのことが女性の弱々しさとして認められたこと、さらに小さな足によって性的に感じさせやすくしたことが纏足の流行した理由とする説もあります。また、儒教の基本的理念として「女性の母性を男性が支援・守護する」という説もありますが、これといった決定的理由は未だに解明されておらず、多くの研究者が論考を発表しているものの、やはり習慣の一つとして続けられたとしか理解されていません。
 裸足の纏足はたとえ夫でさえも閨房でしかほどいて見せないほど男性には秘められるべきものであり、よって纏足の施術者は常に女性でした。
 次号では、纏足の作られ方、そして纏足が滅びるまでについてお話ししたいと思います。