【旗袍(チャイナドレス)】VOL.1
●1930年代の旗袍(左)と、旗袍を着た満州族
みなさんは旗袍(チャイナドレス)って満州族の民族服が元になっているのをご存知でしょうか。おそらくみなさんがご存知の旗袍は、女性の体のラインに沿ってピチピチに作られ、スリットの入ったとてもエレガンスでエロチックなデザインというイメージをお持ちだと思います。
しかし、実は現在われわれが見る旗袍は、中華民国時代に当時の旗袍を洋服バージョンに適用したものです。そういう意味で、満州族の旗袍というような伝統的民族衣装と現代の旗袍は性格を異にしています。旗袍は春秋戦国から漢代まで人々に広く愛された深衣という服が起源になります。後に袍(中国式の長い服)が主流となりますが、深衣と袍ははっきりと違う点があります。深衣は上着とスカートを一つに連結したツーピースの形式になっていますが、袍はワンピースの形式です。後世になって袍は複式スタイルに定着し、そして発展しました。
袍の装飾やスタイルは時代によって変化しましたが、裾幅が広く、丈の長いという典型的なスタイルは、概して知識人や支配階層で持て囃(はや)されました。また、少数民族や遊牧民族にとって、馬乗りや弓術など日常生活や狩猟などの活動をするうえで、より機能的で便利なように動きやすく、体に合うデザインに変化して行きました。
中華人民共和国が成立した1949年当時、平民だった善導グループはファッションスタイルを先導し、より素朴で実用的なデザインを追い求め、また社会的雰囲気も手伝って旗袍は衰退しました。同時に、男性は中山装、学生服、春秋衫、作業用ジャケット、軍用コートが主流で、女性はワンピース形式の連衣裙と列寧装が流行りました。また、衣装に使われる色は緑、藍色、黒色、灰色がほとんどで、素朴で単調、要するに地味だった訳です。
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