【八仙】VOL.2
●「飮中八仙」図」と八仙切手
杖をつく八仙と言えば李鉄拐がいます。彼は足が不自由で鉄の杖をつき、様々な説話が付加された仙人です。漢鍾離は呂洞賓の師匠であり、元将軍という根拠のない謂れがあります。開(はだ)けた上着の前から出っ腹を出していますが、道教の世界では「正陽祖師」の尊称を持つ立場でもあります。弟子の呂洞賓は、中国では関羽と並ぶ知名度を誇る仙人です。何仙姑は、唯一の女性仙人ですが、「仙姑」は尊称ですから、苗字が「何」ということしか分かっていません。藍采和は男性か女性かも分らない謎の仙人です。韓湘子は唐の韓愈の甥っ子で、長い笛がトレードマークの実在人物とされています。曹国舅は宋代の人とされていますが、『宋史』にも登場しない伝承人物です。
さて、八仙が登場する最も有名なものといえば杜甫『飮中八仙歌』でしょう。ほかに蜀中八仙や酒中八仙という呼称もあります。また、元代、明代に発表された戯曲作品には多くの異なった伝記がありませが、戯曲『八仙過海』を元にした明代の呉元泰による『八仙東遊記』全五十六回には、八仙が詳しく描写されています。
ある日、八仙たちは西王母の宴に出ますが、藍采和が乗っていた玉版ごと東海龍王の太子に捕らえられます。龍王たちの行いに怒った八仙は龍宮に押しかけ藍采和を解放させ、そこで呂洞賓は東海龍王の太子たちを殺傷します。さらに八仙が東海一帯を焼いたため、東海龍王は他の南海龍王・北海龍王・西海龍王と協力して戦い、八仙を破りますが、八仙は海に泰山を落としたため、龍王軍勢はまたもや敗れます。
そして、ついに四龍王は天帝に八仙の行いを訴え、天界側からは趙・温・関・馬の四大元帥が派遣され、また八仙側には斉天大聖が加勢し、騒ぎはさらに大きくなりますが、最後に観音菩薩が調停に現われ、かくして天と地と海が平和になる、という一大活劇(京劇)は、現在ではさらにアレンジされたり、登場人物も工夫されていて、人気のある演目の一つです。
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