【閙洞房】VOL.1
●中国の結婚式(左)と、煙で前が見えなくなった爆竹。
一生に一度(出来たら)のおめでたい結婚式、中国には「閙洞房」という晋代から伝わる独特の儀式というか、風習があります。「閙洞房」とは文字通り「新婚夫婦の寝室を騒がせる」という意味です。つまり、結婚式や披露宴がお開きとなったあと、新郎新婦の新居に親しい仲間が押し掛けて大騒ぎする風習です。日本の披露宴の二次会とも似ていますが、中国では新居から邪気を払ったり、若い青年の性教育目的で行われてきたものです。
花嫁が新郎の姑が待つ家に着くと、まずは花嫁をもてなす食事を出しますが、それは半熟うどんや半生ギョウザです。花嫁が食べると花婿側の人が「生不生?(美味しいですか?)」と訊きますが、実はこの質問、「子供を生みますか?」という意味です。
「生(生みます)」という答えを期待する花婿側ですが、由来を知らない若い花嫁は姑の食事が不味いとは言えず、「不生(生ではない)」、つまり「生みません」と答えます。ここで一同大笑いという他愛もない親族の紹介儀式のようなものでした。
やがて新郎新婦にリンゴなどを食べさせたり、歌を歌わしたり、二人の馴れ初めを聞いて冷やかしたり、頬にキスをさせてからかったりするようになりました。古い伝統が残る地域では、新郎新婦の寝室にある蒲団の下に棗栗、落花生を隠すという習慣もありました。「棗」は「早」、「栗子」は「立子(男子が生まれる)」、「花生」は「花着生(男子、女子を交互に生む)」と同音になり、要するに「早く男子を生む」、「男女、交互に生む」という意味になりました。
次号では、最近、悪ふざけも度が過ぎる傾向にある閙洞房についてもお話ししたいと思います。
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