敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【閙洞房】VOL.2


●結婚証明書(左)と、閙洞房の仕打ちを受ける新郎。

 ところが最近は新郎新婦に無理難題を言って困らせるようになっています。恥ずかしいポーズの写真を撮らせたり、プロポーズのシーンを再現させたり、過去の恋愛歴を白状させるといった、まさに二人の取っては受難の風習となりつつあります。お祝いにわざわざ来てくれた悪友ですし、なかには一生付き合う友もいるでしょう。少しくらいのことで立腹していては「度量の小さな人間」と思われるでしょう。
 そして何よりお祝い気分を壊しては一生後悔するかもしれないと、新郎新婦は必死に我慢をします。それをよいことに、要求はますますエスカレートしてゆきます。
 酷い目に遭うのは新郎新婦だけではなく、二人の世話をする介添え役の若い未婚男性「伴郎」と、女性「伴娘」も悪友からの巻き添えを食います。悪ふざけも度が過ぎる傾向にあるため、最近では誰も「伴郎、伴娘」の引き受け手がいなくなっています。
 そこで一昨年、南京でやむを得ず介添え役を努めた新婦の妹が、屈辱に耐えきれず自殺するというショッキングなニュースもありました。過去にも同じような理由で自殺した女性が数人おり、社会問題視されています。
 そのため、地方では「介添え役引受」というビジネスまで登場しているそうです。本来の「閙洞房」が姿を変え、悪ふざけとなったり、どさくさに紛れて犯罪とも言える行動に発展している現状では、閙洞房の習慣自体が衰退するのは明白です。
 古来、中国では、新婚の夜と科挙合格は人生の最も大きな二つの喜びであり、「洞房花燭夜、金榜提名時」という名詩があるほどなのです。