敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【セレブの一人っ子対策「第二子出産ブーム」】VOL.1


●香港で見かける看板。

 中国では、古来からの伝統思想として、子孫をたくさん残すことは、すなわち自らの社会的地位の象徴でもあると考えられてきました。そのため、人口は増え続け、中国の人口は現在、世界5位の13億人に達しています。そのような背景が根強く残る中国では、富裕層や高額所得者、また有名人は、自らの影響や事業継承者を確保する目的もあり、多くの人が第二子やそれ以上の子供を作り、法令違反に踏み切っています。
 中国で国策として「人口・計画出産法(一人っ子政策)」が導入されてから31年が経過しましたが、今でも少数民族や農村戸籍の住民などを除き、夫婦一組に対し一人の出産しか認められません。各地方自治体の細則にもよりますが、法令違反すると、生まれた子どもは無戸籍になりますから、公共サービスや医療、教育を受けることが出来なくなります。また、それだけでなく平均年収の3〜10倍の課徴金「社会扶養費(罰金)」が科せられます。
 今年4月、広東省の普寧市当局が「一人っ子政策」違反者の取り締まりの一環として、住民一万人近くに避妊手術を施す運動を始めたというショッキングなニュースが報道されました。この取り締まりの過程で、手術を拒否した場合、その人はもちろん、その親族までもが拘束され、市当局の施設で家族計画の規則についての指導を受けさせられたため、対象者夫婦の約半数は避妊手術に同意したそうです。
 それでも富裕層や有名人が「一人っ子政策」適用を逃れるため、法律や制度上の隙間を模索したり、十分な準備をしてから行動を起こしています。中国では「上に政策あれば、下に対策あり」という諺がある通り、その一つの例として、自身や子どもに外国籍を持たせるなどの行動が表面化しています。