【「虚偽」と「善意の嘘」】VOL.1
● 善意の嘘では済まされない毒餃子事件
日本人が人からお誘いを受けたとき、そしてそのお誘いには乗りたくないとき、そんなときに曖昧な理由で断ったとしても、それが大きな問題になることはまずありません。そして詳しくその理由を聞こうともしないと思います。それは日本人が「事勿れ主義」と言われる大きな理由でしょうが、ファジーなままで争いを避ける日本人の気質なのかもしれません。
ところが、中国ではそうはいきません。「ちょっと用事が…」などと曖昧な理由を述べると、自分より「ちょっとの用事」の方が大切なのかとなり、言い訳をすると、今度は理由まで詰問されてしまいます。そして、ついに言い訳に窮して「飼い犬を散歩させなきゃならない」などと正直に答えようものなら大変なことになります。おそらくこの人とは絶交してしまうでしょう。自分より犬が大切だと、自分は犬以下の扱いを受けたと感じるからで、「面子を潰された」と考えるからです。
こういう場合、とにかくお断りする理由について誠意をもって説明しなくてはなりません。断る理由ベスト3は、「1.先約、2.仕事、3.身内の死亡や病気」で、お誘いは嬉しいけれども、どうしようもない用事を述べなくてはならないのです。相手の立場を尊重しながら断ることで、相手の面子が保てる訳です。これが非常に大切なことだと中国人は考えます。嘘をついてでも相手の面子を潰さない点は見習うべきところで、これを「善意の嘘」と言います。
善意の嘘と言っても、一生懸命ダイエットしている人に、実際はそうでなくても「ちょっと痩せた?」と言ってみたり、一生懸命作ってくれた料理がたとえ不味くても「美味しいよ」と言ったり、そのような嘘は、日本では相手のことを思った「善意の嘘」と思われるでしょう。また、日本人女性同士が洋服を見ていて、一人が「可愛い」と言ったら、もう片方の人も「可愛い」と言いますよねぇ。
次号では、このような場合、中国人はどのような対応をするでしょうか。お楽しみに!
|