【周恩来】VOL.1
●周恩来展ポスター
建国60周年を記念して、日本各地で中国初代首相・周恩来(1898〜1976)写真展が開催されています。彼は日本に留学していた経験を生かし、日本との友好を生涯の理念として貫き、そして大きな実績を残しました。その高潔な人格、卓越した外交手腕は、今でも日中両国民の敬愛を集める指導者として評価されています。彼が貧しい留学生時代、神田神保町に通った「漢陽楼」は、今でも営業を続けており、筆者も上京の折には足しげく通っております。
さて、中国がまだ内憂外患時代の1898年、江蘇省淮安の官僚地主の家に生まれた周恩来は、1911年、13歳のときに辛亥革命が起こり、翌1912年、清朝が崩壊、中華民国が建国されます。1913年、天津の南開中学校で学び、その後、日本留学を果たしますが、日本語の習得不足により希望大学に進めない挫折を経験します。しかし、明治大学政治経済科(現政治経済学部)に進んだのち、1920年、パリに渡り、共産主義思想を学びました。
この留学時代の仲間に、李立三、ケ小平、陳毅、朱徳など後の中国共産党幹部となる者が多数在籍したようです。 1936年の西安事件で、当時、国内を安定させてから外国勢力を追い払う政策「安内攘外」を採った共産党と、抗日運動を弾圧していた蒋介石が衝突、その交渉に共産党から派遣された周恩来は、開口一番「お久しぶりです。校長」と呼び掛け、誠心誠意、一致抗日を説いて、ついに納得させた活躍で一躍有名になります。
周恩来はその後28年間に及ぶ暗黒の「文化大革命」時代にも一度として失脚しなかったことから「不倒翁(起き上がり小法師)」の異名を持ちました。そして毛沢東らとともに近代中国の動乱に終止符を打ち、ついに1949年の「中華人民共和国」建国を成立させます。
次号ではその後の周恩来首相のエピソードもご紹介したいと思います。
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