【黄砂(黄沙)】VOL.1
● 北京、韓国市内で見た黄砂。見えませ〜ん。
本来なら、三寒四温の時期を越え、ようやく春の息吹を感じるようになっているこの時期ですが、まだまだ強烈な換気が迫っているようで、北日本では豪雪も記録しています。春の訪れを待ち遠しく感じる人もいれば、そろそろ花粉症の心配をされる方も多いかと思います。今年も花粉、黄砂(黄沙)の飛来が多くなると予測されていますが、不安が先立つ方も多いことでしょう。
黄砂とは、春の時期、中国を中心とした東アジア内陸部の砂漠や乾燥地域の砂塵が、強風を伴う砂塵嵐によって大気中に舞い上がり、広範囲の東アジアに浮遊しつつ地上に降下する気象現象を指します。北京では黄砂を運ぶ春の強風を「北京強風」と言いますが、黄砂は国をまたぐ範囲で被害を発生させ、しかも発生地に近いほど被害は大きくなります。代表的な発生地としては、中国西部にある「タクラマカン砂漠」、中国北部・モンゴル南部にある「ゴビ砂漠」、中国中央部にある「黄土高原」の三箇所が挙げられています。この3箇所は、年間降水量がおおむね500ミリを下回る乾燥地帯であるため、地表を覆っている砂が強風によって「沙塵暴(砂塵嵐)」となり、遠隔地にまで黄砂を運んでいるようです。
具体的な被害としては、たとえば、人家や田畑が砂に覆われたり、見通し(視界)や日照を悪化させたり、交通障害を与えたり、黄砂を吸い込んだ人間や家畜の健康被害を与えるなど、多大な被害が発生しています。中国はもちろんですが、近年は東アジア各国に被害が広がり、モンゴル、韓国などでは近隣住民の日常生活や経済活動にまで被害が顕著になっていることから、黄砂への対策や防止は社会的問題になっています。東アジアや中央アジアなど広範囲には偏西風が吹きますが、気圧配置によって砂塵は東方以外にも流されるようです。しかし、高度が高くなると偏西風の影響がまともに受けるため、上空高く舞い上がった黄砂は発生地の東側地域へ到達しています。
次号では、黄砂に対する考え方や社会的な関心の変化についても書いてみようと思います。
|