敬天齋主人の知識と遊びの部屋

敬天齋主人の知って得する中国ネタ

【黄砂(黄沙)】VOL.2


● 東京の黄砂ですよ。これも見えませ〜ん。

 中国では、紀元前(BC)1150年頃に「塵雨」と呼ばれていたことが分かっています。史料においてはこのほか、「雨土」「雨砂」「土霾」「黄霧」などの呼称がありました。また、BC300年以後の黄砂の記録が残された書物もあります。朝鮮では、『三国史記』に、新羅時代の174年頃の記述として、「雨土(ウートゥ)」という表現で、怒った神が雨や雪の代わりに降らせたものとして伝えられています。
 一方、日本では、観測者が空中浮遊した黄砂によって「大気が混濁した状態」だと黙示出来れば黄砂と認定し、「一時間ごとの値」としてデータ蓄積しています。過去の観測データによると、暦の上で2月から5月の4箇月間に、年間の約90パーセントが集中しています。
 しかし、黄砂はマグネシウムなど無機養分を含んでいるため、海に降下すると植物プランクトンの養分になり、魚のエサとなる植物プランクトンが増えるとも言われています。
 また、黄砂はアルカリ性炭酸カルシウムが主成分で、飛来中に酸性ガスを吸着するため酸性雨が中和されるという説もあります。さらに黄砂が地表に落下し、微量の二酸性化硫黄が蓄積されていくと、長期的には土地そのものを肥沃化させる効果もあると指摘されています。
 エコなど環境問題への関心が世界的に広まっていることもあり、黄砂に対する考え方や社会的な関心も変化を見せています。