|
【蟻族−高学歴ワーキングプア−】VOL.1
●中国を代表するエリート大学「北京大学」
中国の大学生の総数は2,000万人余りいて、そのなかで今年の新卒大学生は約630万人います。ところが彼等の就職率は65パーセントと、日本の大学生の就職率よりさらに深刻な状況になっています。35パーセントの超競争社会に敗れた彼等は「蟻族」と呼ばれていて、2000年台後半から急増し、北京だけでも10万人以上、上海、広州、武漢など大中都市にも分布し、全国では100万人以上いると推定されています。高学歴ワーキングプアである蟻族が急増した原因として、21世紀になってから私立大学が急増したことで、大学卒業者が増大したことと、2008年に起こった世界同時不況による求人減の影響が指摘されています。
新卒大学生でありながら良い給料の職に就けない若年者層とはいえ、それでも子供の頃から幾度の競争に勝ち残ってきた優秀な人材もいるだけに、非常に惜しい気がします。就職戦線で勝ち残る可能性が高いエリート大学である「北京大学」や「精華大学」の大学生は約5万人ですから、大学生のわずか0.25%です。日本の場合、大学生の総数は約280万人で、エリート大学である「東京大学」や「京都大学」の大学生は約三万人ですから、大学生の0.93パーセントです。単純に比較してみれば、中国のエリート大学生は、日本の約4倍もの過当競争を勝ち抜く必要があることになります。
日本の就職活動の状況は厳しいといっても、新卒大学生の人材そのものに疑問を投げかける企業側の面接担当者も多いようです。ゆとり教育の影響で、これといった自己アピールの出来る人材がいないのは事実で、企業側も人材開発を国内だけでなく、海外の優秀な新卒大学生に求める時代になりつつあります。
|